会計士の読書ノート

ヒトと本の交差点

言葉にできていないものを言語化する <「弱いつながり 〜検索ワードを探す旅」東浩紀>

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おはようございます。

 

やっぱり哲学って面白い。今回は本書について。

 

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東浩紀 

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どんな本か

 リアルとネットの関係についての哲学です。哲学というと難しくて読めない、、、ってことは多々あるのですが、本書はすごく平易な言葉で書かれていて、おすすめです。

 

 そして、自分の仕事にも関係する部分が多々あったので書き留めておきます。

(そもそも哲学なのであらゆる人間の営みに関係するのですね。)

 

 

言語の限界

言葉には限界がある。 

それは誰もがわかっているはずなのですが、どうしても言葉が重視される時代です。ロジカルシンキングやビジネス書が毎年大量に出版されることからみてもわかることでしょう。みんな言葉を求めています。言葉で理解することが多いから。

 

しかし、言葉が無力なときがあります。

 

例えば、東日本大震災被災地の状況をどう伝えるか。チェルノブイリの状況をどう伝えるか。アウシュビッツの当時の状況をどう伝えるか。いま、そして将来にどう伝えていくのか。

どうでしょう?あなたは言葉でこれを伝えられますか?

  

 一方でデリダの哲学を研究し、言葉の無力さを学んできたという経緯から、他方でネットにずっと触れ、自分や友人の「炎上」を数多く見てきたという経験から、「言葉だけでは争いを止められないということを前提として、では争いを止めるためにはどうすればよいのか」に関心をもち、考えてきました。
 そこぼく僕が辿りついたのは、「モノ」が大事だという結論です。より正確に言えば、時間や経験といった「言葉の外部にあるもの」。

 (同書p.98より)

 

言葉の限界を越えること

 

  • 言葉によるメタゲームをやりすぎないこと。
  • 言葉の外にある時間や経験といった「モノ」を使うこと。
  • 言語化できない「モノ」を言葉に置き換えること。

 

ここにいまやろうとしている「見える化」「仕組み化」「標準化」のヒントがあるような気がします。

 

言葉にできていないものを言語化する(見える化する)。

 

言葉にできていないものには、言葉にしやすいものと言葉にしにくいものがあります。言葉にしにくいものを、言葉でとにかく突き詰めて表現することはしない。(ある意味そこは文筆家に任せればいい。)言葉だけで突き詰めるのではなく、「モノ」つまり人間が触れられる現物を使う。ということです。

 

たとえば、アウシュビッツの当時の凄まじい状況を言葉に表すことができません。できるかもしれませんが、伝わらない。そこでどうするか。それを観光地として開放することでその記憶を後世に伝えていると本書では紹介されています。

  

これは昨今、バズワードにもなってしまっている「デザイン思考」にも通ずるところがあります。人間の行動や感情ベース、つまり言葉やロジック(論理)ではなく、人間の情動や行為などの「モノ」を重視して考えようということです。また、「IoT」などもまさに「Things=モノ」を大切にします。まさに、このことかと。

 

 

 

どんなにIT化やクラウド化が進んだとしても、最後の最後では「ヒト」が行為するのだ、だから、「ヒト」の行動や感情を大切にして仕組みを作る必要がある、というもともと私が考えている思考にもつながりました。まさか、哲学の本、を読んでいてつながるとは、という感じですが、すっと気持ち良く脳に入っていきました。

 

たぶん、この方向性は間違っていない。 

勇気が出ました。

 

 戻る現実などはありません。 

 私たちは記号しか知らない。

 だから記号を旅するためにこそ、現実を旅する。

(同書p.163より)

 

それでは。今日も一日おもしろく。 

( -ω- )b

 

 

 

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東浩紀 

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))

 

そこまで標準化されていないノウハウのありがたさ <外資系コンサルの知的生産術>

 

 

おはようございます
 
最近、英語の勉強ばかりしており、読書がおざなりになりつつあります。
とはいえ、新書やらKindleなどで軽めの本は、少しづつ読んでいるので、紹介していきたいと思います。(ネタがたまる一方で、ブログ更新が一番のボトルネックというのは内緒です)
 
今回、ご紹介するのはこちらの本。
 
外資系コンサルの知的生産術 プロだけが知る「99の心得」 (光文社新書) 外資系コンサルの知的生産術 プロだけが知る「99の心得」 (光文社新書)
山口 周

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コンサル本は見飽きてるけど、この本をとった理由

FAS含むコンサル業務をはじめてから、4年になります。コンサルといえば、ロジカルシンキングなどの思考術やプレゼン術についての本がたくさん出版されています。
 
よく本屋に行く私からすると、もうそんなの見飽きた、って感じなのですが、パラ見してすぐさま購入。
 
なぜ買ったのか?
 
それは、「そこまで標準化されていないアドバイスが、現場にいるかのような雰囲気で、箇条書きになっている」からです。
 
ポイントは3つ。
 
  • そこまで標準化されていないアドバイス
  • 現場にいるかのような雰囲気
  • 箇条書き
 
以下、考えていきます。
 
 

そこまで標準化されていないアドバイス

いわゆるロジカルシンキングやプレゼン術って、もう「型」が決まっています。「フレームワーク」ともいいます。これらは、知識や技術が「標準化」され視覚化されたものです。
 
本書ではほとんどフレームワークはでてきません。MECEやらロジックツリーやら、エピソードの中ででてくることはあっても具体的にそのフレームワークそのものを説明する記述はありません。
 
では、何が書かれているのか?というと、「コンサルの職場で上司や先輩から受けるようなアドバイス」です。こういう教科書には書いていないけど、実務をこなしていくとわかってくる、標準化されていないアドバイスがとてもいいのです。そういう行間を読めるようなアドバイス、がいいなと思います。
 
 

現場にいるような雰囲気

上記のアドバイスが書かれているので、言わずもがなですが、特に私の場合は過去の体験としてこれが感じられます。
これは、実際に私がコンサルの現場に短いながらも4年間いるからだと思います。そうでない人はなんとなくわかっても、腑に落ちない部分もあるかもしれません。しかし、ホワイトカラーと呼ばれるオフィスワーカーであれば、部分部分で同じことを思うことでしょう。ああ、こういうこといわれたことあったな、とか、これいかせるなってことはすごく多いです。
 
 

箇条書き

チェックリストのようにすぐ使えます。これは便利。目次をみるだけで、内容は過去の体験を引っ張ってくれます。まさに脳内インデックスの書籍化。
 
また、箇条書きの個数についてもよいです。
タイトルにあるとおり、「99」項目あるのですが、きりがいい。100じゃないところがまたきりがいい。100個目は、この99項目を守ること、なのではと思うほど。それくらい私の過去の経験で経験があったことが99個にまとめられていました。
 
これ以上まとめると抽象度が高すぎるし、これ以上具体的にしすぎると数が多くなりすぎる。そんな数、99。
 
 
 
ということで、本書は、コンサル業界の方はもとより、専門家の方、企画や新規事業を考えるような仕事をされている方にはもってこいかな、と思います。
 
私も本書は机に置いておき、パラ見しようとおもいます。
 
  • プロジェクトの開始時にぱらっとめくってみる
  • プロジェクトでスタックしたときにぱらっとめくってみる
  • プロジェクトが佳境に至ったときにぱらっとめくってみる
  • プロジェクト終了直後にぱらっとめくってみる
 
 
それでは。今日も一日おもしろく。
( -ω- )b
 
 
 
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資金調達におけるメディアとコンテンツの関係 <クラウドファンディングで夢をかなえる本>

 

 
こんにちわ。 
 
前回<会計士のデザインノート>のほうで、クラウドファンディングを調査したよ、とご紹介しました。今回はその調査のときに読んだ本をご紹介します。 
クラウドファンディングで夢をかなえる本 クラウドファンディングで夢をかなえる本
板越 ジョージ

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本の内容に入る前に、クラウドファンディングとは

クラウドファンディングとは、一言だけ説明するとすれば、ネットにPRページを作って、資金を募集するネット募金のようなもの、と考えてくれればよいかなと思います。目標金額に達成すれば、その集まった金額が手数料をさっぴいて手元に入ってきます。
 
実際にクラウドファンディングサイトをみてみると、イメージがわきやすいと思いますので、代表的なレディーフォーのサイトのリンクをはっておきます。(特段レディーフォーと関係があるわけではなく、アクセスランクが高くメジャーというのが理由です) 

readyfor.jp

 
また、<デザインノート>のほうで、「高い」「遅い」「少ない」という3つの財務面での特徴を説明していますので、こちらも興味がございましたらご覧ください。
 

tom-notebook.hatenablog.com

 
 

クラウドファンディングにおける「1/3の法則」

さて、そんなネットで資金調達できる、素晴らしいものであると同時に、上記3つの残念な点もあるということでメリット・デメリットがあるわけです。
 
特に、希望を持ってしまいやすい点としては、「自分がやりたいプロジェクトの立ち上げ資金を全部調達できるのか!」という点です。クラウドファンディングだけで、必要資金の「全部」を調達できるわけではない、むしろそんなケースはあまりないのです。冷静に考えればそれはそうですよね。普通の会社だって最初は自己資金です。そのあと、事業が軌道にのってきて銀行借入などの追加資金を調達するのですから。
 
必要資金の「全部」を調達できるわけではない、このことに米国Indiegogoの創始者が言及している点が本書では紹介されています。
 
Indiegogoの創始者いわく「1/3の法則」という法則あるそうです。
「1/3の法則」とは、1/3は自分の友人知人から資金調達し、1/3はその友人知人の友人知人から、そして最後の1/3はクラウドファンディング資金調達するケースが、クラウドファンディングでは成功しやすいオーソドックスな形である、という法則と説明されています。
 
これは自社の調査に基づくもの、だそうですが、非常におもしろい示唆だと思います。(法則というほどのものかはさておき)
 
 
 

コンテンツが同じであればメディアはそれを拡張するだけ

「1/3の法則」は、
 
友人知人から資金を集められるほどの共感が得られなければ、ほかの人から資金が集まるはずがない。
 
ということを意味しています。
 
つまり、資金調達したいプロジェクト(コンテンツ)の魅力がなければ、もしくは発起人の魅力がなければ資金調達は成功しないということです。ただ、友人の友人では範囲が狭いけど、ネットというメディアを通じればそれこそ世界中の人たちで似たようなつながりにある人からも資金調達ができるのです。
 
遠くにいる人(地理的にも、情報流通的にも)から資金調達できるツールという面では素晴らしいものがあります。その一方で、あくまでも情報を届けることができても、資金を提供してくれるかどうかは内容次第ということです。ネットというメディアで届けることができても、結局はプロジェクト内容というコンテンツ次第。
 
 

メディアとコンテンツのどっちによるか

この点は非常に重要で、ドワンゴの川上会長も同じようなことをいっています。メディアとコンテンツの両方をとると。
 
SNSやキュレーションメディアやクラウドファンディングといった、メディアよりのサービスやプラットフォーマーがもうかっているのは、構造的な部分が大きいと思います。いまはたしかに儲かっているのかもしれませんが、メディアや流通というのは、結局インフラです。いずれ道路のようにフリーになってくるのでは。結局はコンテンツに価値が残るのでは、ユーザーが求めるコンテンツのある場所しか残らないだろう、と勝手におもっています。
 
こう思うのは、メディアよりもコンテンツよりの仕事をしているからかもしれません。専門的知識というのは、コンテンツ重視、というよりそれしかない世界ですから、、、専門家業界でもコンテンツの良し悪しがあります。そういうものをみていると、良いコンテンツは評価され、またユーザーに届くことでとても意義のあることだと思います。いまはまだ、悪いコンテンツ(ノイズ)を含めて流通せざるを得ない仕組みにしかなっていないことが残念です。ここにチャンスがあると思います。
 
ただ、専門知識の難しいところは、メディアにのっけただけではなかなか実践できないというところでしょうか。本だけ読んでも行動に結びつかないのと同じで、なかなか難しい。このユーザーとメディアとコンテンツの隙間を埋めるところが非常に重要であり、かつ、市場もあると思っています。
 
 

まとめ

と、最後は話がそれてきてしまいました。本書を読んで、
何か新しいプロジェクトを始める際には、下記を大前提として考えていくことが重要だと改めて考えさせられました。
 
  • 自己資金も含め、資金調達を考える
  • 資金調達するにはプロジェクトに魅力があり、資金提供者が共感することが前提となる(リターン含む)
 
 
それでは、また。
( -ω- )ノシ
 
 
 
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NPOもファンドレイジング=資金集めのための仕組み <NPOの教科書>

 

こんにちわ、tomです。
 
今回はこちら。
 
初歩的な疑問から答える NPOの教科書 初歩的な疑問から答える NPOの教科書
乙武 洋匡 佐藤 大吾

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とっつきにくいNPO法をわかりやすく

すごくわかりやすい。たとえ話や比較がうまいからだと思います。たいていは「株式会社」との比較。サラリーマンがマジョリティーのこの国では至極ごもっともな表現です。

 

  • NPO制度論がこんなにわかる
  • NPO現状と現場がわかる
端的にいえば、こんな本です。
 
 

ファンドレイジングのための仕組み

タイトルをNPO「も」としたのは、株式会社などの会社も、組合も、財団法人や社団法人も。
 
第一義的には、ファンドレイジング(資金集め)のための仕組みだということ。
 
もう一点だいじなのが、利害調整をするための仕組みだということ。
 
 
金集めなら、個人でもできます。極端ですが、違法に詐欺などで集めることもできるでしょう。ただ、違うのは、金集めをする発生する利害関係を調整する機能が、法律で規定されているってことです。ここがすごく重要。
 
例えば、株式会社では、資金提供者である株主の権利を守るためのルールが主に会社法という法律で定められています。株主総会で経営者に議決によって賛成反対の意思表示をしたり、これを議論したいという議題提案もできますが、これらはみな会社法で定められています。
 
NPONPO法でそれが定められています。例えば、情報開示もその一つ。広く公共から資金集めをしますので、その資金を何に使ったのか、資金提供者は気になりますよね。変なことに使われてないよね?と。
  
  • 金集め
  • 利害調整 
NPOをはじめとする社団や財団の主な意義と機能だと改めて認識しました。
 
 

金が集まり、利害調整されると、、、

これにより、NPOを設立すると、金が集まり、法に則っていれば最低限の利害調整はできる。そうすると何が起こるか。
 
 
リソース(主にヒト)が集まることになります。
 
 
例えば、金がない組織よりも金がある組織に飛び込む人の方が多いですよね。また、利害調整されていないカオスな状況より、利害調整されている状況に飛び込む人の方が多いと思います。
 
特に、NPOはどちらかというと利害調整を法定以上にうまくやらないとヒトが集まらない。むしろそこがマネジメントの腕の見せ所という話が本書でもたびたびでてきていて、とても参考になりました。
 
 

まだまだ寄付の文化は浸透していない

ただ、機能として金集めはあるけれど、程度問題でまだまだなところがあります。残念ながら、日本では寄付やボランティア(労働対価の寄付)が浸透していません。NPOの目的は困っている人や状況を支援することであり、株式会社の目的である利益の分配とは違います。ただ困っている人を助けるのにも金は必要となります。ここが難しい。
 
少し期待しているのは、NPOとは全く関係ないけど、「ふるさと納税」ってやつで寄付の分解が根付くのかという点です。最近話題ですが、「納税」とかいいながら「寄附」なんですよね。
 
とはいえ、ふるさと納税が寄附した全額を税金から控除できるのに対して、認定NPOへの寄附は一部しか控除できないので、意味ない可能性大ですかね、、、
 
 
 
少し話はそれましたが、お金でも労働力でもNPOに関与するのは面白いかなと思います。ヤバイNPOもあるとのことですが、興味のある方はまずは本書を手に取ってみてはいかがでしょうか。
 
 
それでは、また。( -ω- )ノシ
tom
 
 
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衝突や葛藤をマネジメント<甘酸っぱい経営>

 
こんにちわ、tomです。
 
今回はこちらをご紹介
 
甘酸っぱい経営 株式会社とNPOを併せ持つGRAモデル (カドカワ・ミニッツブック) 甘酸っぱい経営 株式会社とNPOを併せ持つGRAモデル (カドカワ・ミニッツブック)
岩佐 大輝

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衝突や葛藤、リスクを恐れるな。

本書の著者は、NPO農業生産法人GRAの創設者である岩佐大輝さん。
本書には、彼が語る「衝突や葛藤、リスクを恐れるな。」というメッセージがこめられています。
 
  • イノヴェーションは衝突や葛藤で生まれる
  • リスクをとらなければリターンは生まれない
 
シンプルですが、実践をもとにして、衝突や葛藤、リスクをマネジメントすることの大切さが語られており、説得力があります。
 
 

そもそもGRAとは

GRAは被災地である宮城県山元町で、「いちご」をいろいろなかたちで世界に発信する組織です。株式会社とNPO法人があります。
 
自らが産業に直接的に身を投じることでロールモデルを創ろうという株式会社によるアプローチ、地域内外の多くの人々を巻き込み、都市と地方の交流により創発性の泉」を創る特定非営利活動法人に寄るアプローチ、双方の共創モデルにより、地方創生に挑戦するのがGRAです。
http://gra-npo.jp/より)
 
株式会社GRAは農業を強い産業とすることで地域社会に持続可能な繁栄をもたらすことをミッションとしている。
 
 

GRAも原子力発電も「衝突」がエネルギー源。違うのは、、、

奇しくも、GRAという組織と原子力発電は、「衝突」によりエネルギーを得て、それを社会に還元するという点で共通していると考えられます。GRAはヒトとヒトとの衝突により産業を復活地方創生を行い、原子力発電は中性子と原子との衝突の連鎖(核分裂反応)により莫大な電力を得ます。
 
しかし残念ながら、後者は、「衝突」の制御ができず、甚大な被害を社会に与えてしまいました。地震大国ですから、地震津波といったリスクも明らかだったでしょう。
 
衝突で得られた莫大なエネルギーを制御しきれなかった原子力発電所と、同じく震災による被害を受けた地域でのGRAによる地域創生のマネジメント。奇しくも同じ衝突というエネルギー源をもとにした仕組ですが、その制御方法いかんで結果は変わってくるということ。
 
GRAの歴史は5年です。これからも様々な衝突や葛藤、そしてリスクが待ち受けていることでしょう。それをどうマネジメントしていくか、とても楽しみですね。
 
すべての地域では、というのは難しいのかもしれませんが、地方創生のロールモデルとなり、ポテンシャルが秘められた地域の活性化につながればいいなと思います。
 
 
まとめ
と話がそれましたが、
 
  • イノヴェーションは衝突や葛藤で生まれる
  • リスクをとらなければリターンは生まれない
  • これらをマネジメントせよ(それらから逃げることがマネジメントではない)
 
という話。衝突や葛藤などの言葉の定義次第ではありますが、やっぱりコミュニケーションのラインが太くなったり、ラインの数が増えると(ネットワーク化)するとイノベーションは起きやすくなるのでしょう。
(社内外や業界内外を問わず様々な方々と様々な形でCo-Workができたらという願いをこめて)
 
 
GRAだけでなくあらゆる組織にいえるシンプルだけど強いメッセージ。とても大事ですね。
 
 
それでは、また。( -ω- )ノシ
tom
 
 
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常識にとらわれないルール <社長のための「非常識な会計」のルール>

 

こんにちわ、tomです。

 

今回はこちら。

会社にお金が残る 社長のための非常識な会計のルール 会社にお金が残る 社長のための非常識な会計のルール
村形 聡

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よくあるタイトル

よくありそうな会計系の本。「お金が残る」とか「貯まる」とか「〜のための」。とネガティブなタイトルだったのですが、トンデモ本ではなかった。お金と政治がからむとトンデモ本のヒット率が高くなるんです。税金がらみ、社会保障がらみは、お金と政治の両方からむから、だいたいトンデモ本(という偏見)。

 

お金のことをシンプルにまとめており、専門用語もやさしく説明、無駄に乱発していない。また、基本中の基本をおさえており、これがいい。

 

キャッシュフローという言葉を使わないキャッシュフローの解説書

制度会計はそのままでは、中小企業経営に役立たない。PL,BSから単年度のフリーキャッシュフローを計算するといいよ、という話。キャッシュフローなんて一言もでてこない。だって中小企業は税務会計しかほとんどやっていないので、キャッシュフロー計算書なんて作らないし、見たこともない人が多いからです。これはgood point。

 

金回りの基本中の基本をおさえてる

節税しても将来に繰延べてるだけ、借入は儲けでしか返せない、粗利率は下げるな、などなど、基本中の基本だけど、実際に会計でどう見ていくかが説明されていてよいですね。実際、基本中の基本で頭でわかっていながら、これができていない会社は山ほどあるように思います。 

 

ただ一点、「社長のための1年で会社を黒字にする方法」と違うのは、あくまでも会社の決算を「正しい」としていること。 

社長のための 1年で会社を黒字にする方法 社長のための 1年で会社を黒字にする方法
武田 雄治

日本実業出版社 2012-10-27
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ここは、武田先生がいうように、意外と間違っている。ってことが圧倒的に多いので、ぜひこちらもおすすめしておきます。(と思ったら、ほとんど同じようなタイトル構成と表紙で、出版社も同じだった、、)

あとは未来工業関連の本を読んで、いろんな細かい実践を積んでいけば、多くの中小企業(特に製造業)は改善できると思われます。もちろん、実践が難しくそのインストールは難しいところ。なのですが。

 

 

常識にとらわれないために

しかしながら、「非常識な会計」は規則に縛られるような不自由なものではありません。

 (「会社にお金が残る 社長のための非常識な会計のルール」より)

 

という著者あとがきが言い得て妙、というのは、これは本書の内容をちゃぶ台返しで無に帰すと同時に、会計ルールに縛られるな、という本書が伝えたいメッセージでもあると思います。

 

ルールとは絶対的なものでなく、環境の変化によって変わるべきです。それこそ、毎年税制や会計基準は改正されますし、それでも環境の変化についていけていないほど。

 

会計というツールを経営に役立てたい。

それには会計の常識にとらわれないこと。常識にとらわれないルールはいたってシンプル。自分たちで考え、行動し、経験する。そして、経験を次に活かすということ。

 

シンプルだけどいいメッセージでした。

 

 

それでは、また。( -ω- )ノシ

tom

 

 

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インターネットが自分の可能性を示し脅かしている <クォンタムファミリーズ>

 

こんにちわ、tomです。

 

今回はこちら。

クォンタム・ファミリーズ (河出文庫) クォンタム・ファミリーズ (河出文庫)
東 浩紀

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アズマンはいつも朝生でみていて頭のいい方だなぁとうらやましく思っていました。村上隆との対談も面白かった。けど、なぜか著書は全く読んだことがなく。いまさら読了。

 

 

どんなSF小説

解説で筒井康隆がいうように、「現代思想としての多元宇宙SF」。わかりやすくいえば、「現代思想×パラレルワールドもの×タイムリープもの」。

 

この現実ではない「もうひとつの現実」の存在、言いかえれば「あったかもしれない現実」「これからあるかもしれない現実」。この複数の現実=多元宇宙が、人類を滅ぼし、家族が救われる物語。

 

今までなかったような読了感。村上春樹が引用されており、村上春樹はファンタジー、東浩紀はSFという感じ。

 

 

現代思想としてのSF。ネットが自分の可能性を示し自分の存在を脅かす

わたしたちの世界のすぐ隣には、無数の平行世界が開け、そしてわたしたちはネットを通じてそれらの世界と繋がっている。

東浩紀クォンタム・ファミリーズ」より)

 

ネットで実際に目にしない事象を知ることができるようになり、様々な可能性が自分にインプットされていることに気がつく人も少なくありません。例えば、SNSをみていれば友人の成功談や幸福な写真に出会うでしょう。それは自分にとっても「あったかもしれない現実」だと考えられます。もしかしたら「この世界の今の自分」ではなくて、「全く違う世界を生きている(生きていた、生きていく)自分」がいるもしれない、という想像です。

 

量子力学、数学の世界ではその可能性は示唆されるし、むしろ「この世界の今の自分」が虚構で、「全く違う世界を生きている(生きていた、生きていく)自分」が、本当の自分、自分の現実であるかもしれない。

 

このように、インターネットが当たり前になった世界では、インターネットが人間の可能性を示しながらも、現実の自分の境界をぼやかし、侵食し、脅かしていく。まさにいまこの世界を現代思想の視点で、SF要素を交えながら描いている名作です。

 

物語内では、「いま」「ここで」「何のために」生きるのか、そんなことはどうでもいいと主人公は考え始めます。なぜなら、そう考える自分でさえ量子演算されるパラメータ数値やその塊でしかありません。計算結果でしかないからです。ありえたかもしれない可能性を信じ始める(可能性に脅かされる)と「何のために生きているのか」自分の存在意義は何なのかがぼやけていきます。そのなかで存在意義はもはやないけど、やらなければならないこと(やりたかったことでもあるのでしょう)を最期にやり遂げる主人公の姿には感動しました。

 

 

キャリア論に結び付ける

そういえば、最近、上司と30歳を越えてからのキャリアの話をしました。「この先色々な経験ができるだろうが、その一方であったかもしれない別の機会は失われていく」といった機会費用みたいな話です。海外にいくと国内の仕事は薄くなるし、国内にいる限り海外の仕事には限界があるというよくあるはなし。これは、まさにクォンタムファミリーズの話でもあるし、本書に幾度となく登場する村上春樹の「35歳問題」の話です。

 

一時間ほど話して、「やりたきゃやればいいじゃん」ということで私と上司は納得できたように思います。

 

結局「やりたきゃやればいい」と思えるのは、可能性を捨てることではなくて、可能性を信じているからこそ行動に移せるのです。(まだ移してないけど)それがどんなにつらい行動であり、つらい未来となってしまうとわかっていても、むしろつらい未来が予測されるからこそその可能性を信じなければそのとき後悔してしまうでしょう。本書でも、可能性を探しているうちは主人公たちの行動もいまいち定まっていないように感じられ、可能性を信じたときその行動に感動を覚えるのです。

 

「可能性に殺されるぞ!」

 

というのはガンダムユニコーンのリディの台詞(と記憶しています)。可能性を信じていない人だということが、一言で表されています。インターネットが、人間の可能性を示す大きな社会システムとして動く一方で、可能性に殺されてしまうことというのも多々あります。逆説的ではありますが、

 

「可能性に殺されるかどうかは可能性を信じているかどうか」

 

で決まってくるのではないかと感じました。

(なお、自分の可能性を信じることと、自分を信じることは似ているようで、この違いはかなり大きいものなんじゃないかと思います。)

 

 

それでは、また。( -ω- )ノシ

tom

 

 

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