言葉にできていないものを言語化する <「弱いつながり 〜検索ワードを探す旅」東浩紀>
おはようございます。
やっぱり哲学って面白い。今回は本書について。
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どんな本か
リアルとネットの関係についての哲学です。哲学というと難しくて読めない、、、ってことは多々あるのですが、本書はすごく平易な言葉で書かれていて、おすすめです。
そして、自分の仕事にも関係する部分が多々あったので書き留めておきます。
(そもそも哲学なのであらゆる人間の営みに関係するのですね。)
言語の限界
言葉には限界がある。
それは誰もがわかっているはずなのですが、どうしても言葉が重視される時代です。ロジカルシンキングやビジネス書が毎年大量に出版されることからみてもわかることでしょう。みんな言葉を求めています。言葉で理解することが多いから。
しかし、言葉が無力なときがあります。
例えば、東日本大震災の被災地の状況をどう伝えるか。チェルノブイリの状況をどう伝えるか。アウシュビッツの当時の状況をどう伝えるか。いま、そして将来にどう伝えていくのか。
どうでしょう?あなたは言葉でこれを伝えられますか?
一方でデリダの哲学を研究し、言葉の無力さを学んできたという経緯から、他方でネットにずっと触れ、自分や友人の「炎上」を数多く見てきたという経験から、「言葉だけでは争いを止められないということを前提として、では争いを止めるためにはどうすればよいのか」に関心をもち、考えてきました。
そこぼく僕が辿りついたのは、「モノ」が大事だという結論です。より正確に言えば、時間や経験といった「言葉の外部にあるもの」。(同書p.98より)
言葉の限界を越えること
- 言葉によるメタゲームをやりすぎないこと。
- 言葉の外にある時間や経験といった「モノ」を使うこと。
- 言語化できない「モノ」を言葉に置き換えること。
ここにいまやろうとしている「見える化」「仕組み化」「標準化」のヒントがあるような気がします。
言葉にできていないものを言語化する(見える化する)。
言葉にできていないものには、言葉にしやすいものと言葉にしにくいものがあります。言葉にしにくいものを、言葉でとにかく突き詰めて表現することはしない。(ある意味そこは文筆家に任せればいい。)言葉だけで突き詰めるのではなく、「モノ」つまり人間が触れられる現物を使う。ということです。
たとえば、アウシュビッツの当時の凄まじい状況を言葉に表すことができません。できるかもしれませんが、伝わらない。そこでどうするか。それを観光地として開放することでその記憶を後世に伝えていると本書では紹介されています。
これは昨今、バズワードにもなってしまっている「デザイン思考」にも通ずるところがあります。人間の行動や感情ベース、つまり言葉やロジック(論理)ではなく、人間の情動や行為などの「モノ」を重視して考えようということです。また、「IoT」などもまさに「Things=モノ」を大切にします。まさに、このことかと。
どんなにIT化やクラウド化が進んだとしても、最後の最後では「ヒト」が行為するのだ、だから、「ヒト」の行動や感情を大切にして仕組みを作る必要がある、というもともと私が考えている思考にもつながりました。まさか、哲学の本、を読んでいてつながるとは、という感じですが、すっと気持ち良く脳に入っていきました。
たぶん、この方向性は間違っていない。
勇気が出ました。
戻る現実などはありません。
私たちは記号しか知らない。
だから記号を旅するためにこそ、現実を旅する。
(同書p.163より)
それでは。今日も一日おもしろく。
( -ω- )b
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