SFから読むセクショナリズムと人材の成長 <エンダーのゲーム>
こんにちわ、tomです。
「わたしは自分が彼以外の人類の愚かさも過小評価しているのではないかと思うと恐ろしいのだよ。人類がこの戦争に勝利しなければならないという点は、絶対に間違いではないのだろうか?」
今日はこちら。
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SF小説はよく読むのですが、Facebookのマーク・ザッカーバーグも愛している1冊ということで読んでみた。
、、、あらすじ、、、謎の地球外生命体との戦争があり、その戦争とたたかうための兵士として子どもにエリート教育をしている世界。最高の素質をもった天才として主人公が育成されていく中、組織内部の争いや主人公の成長を描いている。そして、地球外生命体との戦いは、、、
単純にSFとして面白い。主人公が幼いながらも成長していく姿は、男子が好きなやつ。少年ジャンプ的なノリで、子どもから楽しめる。主人公が6歳からの話だけど、子どもたちにはやたらと大人でもできないような発言や思考が多く、「ありえないでしょ」とか思いつつ、「なるほど」と読み進めてしまうのが不思議かつ面白い。
また、最近、経営組織論を勉強しているので、組織論的にも面白かった。その点を2点ほど。
一点目は、官僚(機能別)組織で問題となる「セクショナリズム」や「部分最適」の話が全般にわたり示唆されているように思う。もちろん宇宙戦争もの=軍組織、という環境に置かれるため官僚組織が描かれるのは必然か。
(監査法人内のパートナーのアカウント争い=縄張り争いと似ているなぁ棒)
組織のゴールに向かうために、その組織内の部署やチームごとにゴールが設定されて組織メンバーの行動が組織のゴールに向かうように仕向けるのが組織。KPIといったりしますが、まあみんな好き勝手やるわやるわで、統制なんて皆無。
とはいえ、圧倒的なKPI達成をした人間が昇進するわけです。その人間はKPIや組織内部での争いや競争などムダだと思っており、組織のゴールにのみ焦点をあてている。
二点目は、組織の成長と組織構成員個人の成長について描かれている点。主人公エンダーの成長だけでなく、エンダーを支持する人も反発したり恨んだりする人もどんどんエンダーに引っ張られて成長していく。
リーダーシップともいえるけど、それは組織本部がすべて環境や仕掛けをしてやり遂げているところ。この育成施設、ハードだけど、すごい環境作りや仕掛けを徹底的にやっている。例えば、密室空間の作り方や人材配置、制度の改訂などなど、子供たちに負荷を与えながら成長させていくのである。やっぱりリーダーシップは、才能だけではなく、環境によって育てられるものなのか。
とそれらしく書いたけど、単純にSFとして面白い。気軽に読めるエンタメSFだから、これを機に読んでほしいと思える1冊でした(上下2冊だけど)。
それでは、また(o-ω-o)ノシ
tom
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